2009年1月31日土曜日

上腕動脈表在化

上腕内側に5㎝、前腕屈側に2㎝短辺の正三角形長辺の切開を置く。上腕の切開線は、上腕動脈を触知する部より内側にとるが、具体的には肘の屈曲線の消失点に位置するようにする。上腕から切開する。まっすぐ深筋膜に達するように入るのではなく、まず皮下組織を付けた程度で皮弁を起こしていく。徐々に深く入っていく。適宜血管は焼約して処置する。深筋膜に達したら、上腕動脈を触知する。直上の深筋膜を一カ所切開、長軸に合わせて延長する。動脈周囲を剥離してvessel tapeで血管を確保、全長に渡って剥離を進める。得てして周辺の癒着が有るため、枝を気をつけて処置していく。尾側では上腕二頭筋腱を超えた位置、橈骨尺骨動脈分岐まで剥離する。この際二頭筋腱を切離するが、腱の尾側で切開してしまうと退縮して再建しがたくなるため、やや頭側気味で切離すると良いかもしれない。いずれ、切離する前に糸(4-0ニューロロン)をかけて把持しておく。動脈分岐部では色々と枝(肘周囲血管網の反回枝)が多いので気をつけて処置する。部位も深く、確認も難しい。
動脈全長で挙上できたら、切開した深筋膜を再建する。頭側尾側どちらからでも構わないが、まず両端で血管がkinkingしないように気をつける。また、数カ所はmattress縫合をする(4-0ニューロロンを使う)。二頭筋腱も再建する。当然動脈の下を通す。ニューロロンで水平マットレスを2カ所程度かける。すべて縫合が終わった時点で再度kinkingがないかどうか確認する。あった場合は躊躇無く縫合し直す。
この後、皮弁を縫合する。4−0ナイロンで、皮弁皮下と、動脈付近の深筋膜をanchor sutureする。動脈がずれないようにする。勿論ここでも動脈が狭窄しないように注意する。
4−0ナイロンで真皮皮膚縫合して終了である。やや強めに圧迫しておく。肘は弾性包帯固定をした方が安心である。
術後は4週間は穿刺禁止である。